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Singate Pioneer –日本を出て海外に挑戦した人たち–   第1回 安食 隆氏 (後編)

(前編からの続きです)

幸いにも店舗の売上は好調。「日本の製品」という売りはシンガポールの顧客にとって大きなブランドとなった。そんなある日、シンガポールを代表する大病院から、病院の中で商品を販売しないかという提案を受ける。病院で積極的に商売するというのは日本ではちょっと考えられない発想であるが、シンガポールでは珍しいことではない。

 病院はシンガポール人のみならず、アラブ人や華僑まで様々な富裕層がやって来る。その客層に店のコンセプトは当たり、珍しい日本製品を求めて毎日客が行列した。安食氏はさらに知恵を絞って、余ったスペースを別の小売業者に貸し出すという商売を思いつく。個性的な店を呼び込んで1つの店として運営したのである。限られた店舗スペースでいかにビジネスを盛り上げるかを学び、この経験は後の事業に活かされることとなる。(写真は実際に出店した病院)

そのような小売業を3年近く続けた後、次なる商売の種を探していた安食氏は、多くのショッピングセンターに利用されていない無駄なスペースがあることに気付く。「このスペースを有効に使えばお互いにビジネスになるのではないか」。そうひらめき、ショッピングセンターを運営するデベロッパーに「この場所を使わせてくれないか」と営業してまわった。初めは全く取り合ってもらえなかったが、半年ほど説得を続けた結果、いくつかのデベロッパーから使用許可を取り付けることに成功する。

このビジネスは、ショッピングセンターから場所を借りたら自分でテナントを探し、入居させて賃料を取る。安食氏はこの時、小売業よりもイベント業・賃貸業にチャンスを見出していた。ショッピングセンターにとっては、使い道のなかったスペースに収入が生まれ顧客が増える。しかも管理は任せてしまうことができる。入るテナントにとっては、独力で取れないような魅力的な立地で商売ができる。Win-Winだ。安食氏は自身の経験から双方のメリットを見出し、繋げることで新たなビジネスチャンスを作り出したのである。

2012年5月現在、Haikara Event社はシンガポールのショッピングセンター内で直営・賃貸含め約40か所をマネジメントしている。この分野はいわゆるニッチであり、未だに他社が入り込めない、同社の独占市場となっている。

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日本人が海外で起業をする時は、日本人を相手に始めるケースが圧倒的に多い。それまでの経験を活用できるからである。安食氏は完全にローカルの人を相手に商売をし、ローカルのスタッフを使って経営しているという点で、Pioneer度は高いと言える。

安食氏は今、自身の経験を活かし、本業のかたわらSingate.bizおよびコワーキングスペース・SQEAのパートナーとして、日本企業のシンガポール・マレーシア進出をサポートしている。
(文責:野瀬正一)